愛のゆくえ』リチャード・ブローティガン

ブローティガンが何故好きなのか考えてみたら、それはダメな人しか出てこないからという理由にぶつかった。ほんと、向上心だとか、やる気だとかに欠ける人ばっかりで落ち着く世界。がつがつしてる人がきらいなわけでもないけれど、せめて物語の中ではそういうヨノナカ的なものを忘れてみても良いのではないかと思う。好きな理由のふたつめは、彼の小物のセレクトのセンスが良いところ。それはビートルズのラバーソウルだったり、へんてこな図書館だったり、西瓜糖であったりするのだけれど、彼が選ぶ小道具はあいまいで、おさまりのわるいものが多い。でもそれがやる気のない世界に良い具合にめぐって落ち着く雰囲気を作り出す。そして、ヘンなリアリティも。ブローティガン式のやる気のない、しずかな世界があったら、一週間ぐらい滞在してみたいと思うもの。なんとなく京都はブローティガン式な街に思えてきた。ああ、京都いきたい。