「バッド・エデュケーション」ペドロ・アルモドバル監督

珍しく2日連続映画館。しかし今日は4月28日シブヤの日であったので映画1000円であった。ちなみに昨日は水曜で映画1000円であった。日曜は1日なのでまた映画1000円である。また日曜に映画館に吸い込まれる気がしてならない。と、まあこれは前置き。
アルモドバルは、実はかなりしっかり物語を作る監督である。というのは気づいていたけれど、彼の物語への執着はかなり強い。というか過剰なまでの物語への愛を感じる。一般的に物語はパターン化されている。この展開の先はこうなるんでしょ〜という先読みが可能なのはそのためなのだけれど。そのパターンを、アルモドバルはあまり崩さない。ただ、彼のアイデンティティの問題で、物語にゲイがからんでくるので、パターンは見えずらい。さらに、映画の中に同時にいくつかの物語軸を導入する、というのが「オール・アバウト・マイマザー」以降の彼の手法で、さらにうまくソフトフォーカスをかけている。たぶん、私たち観客はあんまりにも高踏な脱物語の映画より、物語らしい物語のある映画に反応する。でも、直球の物語も気恥ずかしい。だからこそ、彼の手法は効果的だ。馴染みのある物語をいくつか織ることで共感できるし、深みが出るし、その分ラストで感じるカタルシスは大きくなる、というわけだ。うまいなあ、アルモドバル!と、分析するとなんだかおもしろくないんだけど。
この映画は、キレイな男の子たち、キレイな男たちの愛憎をそのまんまキレイだなあ、恐ろしいなあ、でも愛情っていいなあ、なんてのん気に見ていいんだと思う。とくにプールを泳ぐシーンがとてもキレイ。ぼんやり見ていても胸にちくっと刺さる何かはきちんと用意されている。ほんとに、アルモドバルはうまい。と感心しきりなのだった。