野村萬斎を見る会

会社の先輩に誘われて、たまにはオツに狂言鑑賞としゃれこんできました。打ち合わせもそこそこに、タクシー飛ばして新宿文化センターまで。「新春名作狂言の会」と銘打たれた出し物で、「末広がり」と「業平餅」という2つの演目が用意されてましたとさ。
ひとつめの「末広がり」は、大金持ちのご主人に「末広がりなるものを都へ行って買って来い!」と命じられた子分が、都でぺてん師にだまされて末広がりに広がった傘を買って来ちゃう、というお話。実際ご主人が買って来いと命じたのは、末広がりの細工をした扇だったのに…という笑い話。
「業平餅」というのは、色男として知られる在原業平が、旅の途中の茶屋で餅が食いたいとダダをこね、茶屋の娘を宮仕えさせてほしいから連れてってくれと頼まれて、顔も見ないうちからオレの女にしてほしいとダダをこね…というしょうもないお話。
狂言って当時のコントだったのね、という脱力なお話ばかりなのだけれど、ぴんと張った背筋とか、しぐさのひとつひとつだとか、何とも雅な雰囲気が漂って、笑いながらも一味違うハイソな気分。今のコントもここまで完成された型ができれば、こんなふうに後世に残るものか?と一瞬思ってみたけれど、それとこれとは話は別か。しかし、能に比べて肩肘はらずに楽しめる狂言、これからも機会があったら来たいな、と思わせるものでした。場内は萬斎さんファンっぽい女性が多いのかと思ったら、妙齢のご婦人だとか、夫婦連れが多くて何となく納得。