『ニシノユキヒコの恋と冒険』川上弘美

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

 そのひとの全部を好きになることに決めると、いいだのよくないだの、そういう価値判断などしなくても、よくなるのだ。ただ、好きでいれば、いい。
 だから、あの夏の終りの日からは、西野君とのセックスは、ただの「好きなひととのセックス」になった。「誰かとするものすごくいいセックス」とか、「誰かとするちょっといいセックス」とかいうものでは、なく。

あああああ、そうだよなあ。ここで、もだえた。
稀代の女たらしニシノユキヒコをめぐる、女性たちの目線からの短編集。ニシノさんがまた、ダメで素敵な人なんだ。まいった。