「ココシリ」

実話を基にした話、と聞くとどうしても採点が甘くなるけれど、とてもいい映画だったと思う。モンゴルの山を守る私設パトロール隊と密猟者たちの戦いの話。言葉に頼らない物語運びが、自然とたたかう男たちの美しさをとても引き立てていた。洗いざらしの汚れた服の陰影だとか、砂まみれになった髪の質感だとか、額にしっかりと刻まれたしわだとか、ひとつひとつが、ただただ美しくて。モンゴルで撮影された大自然の表情だって、”息をのむほど”って表現したくなるぐらいのレベルなのだけれど、そこにたたずむ人間の弱さも悲しさもひっくるめて、とても美しくて愛しかった。