高島平という場所

今日は資料あつめに高島平に行ってきた。この街は、とても東京とは思えないようなザ・団地の街だ。三田線の駅を降りるとすぐ高島平団地の切り餅状の建物がきっちりと列を成している。道はまっすぐ広くどこまでも続くようで、道端にはきれいに花が植えられている。健康的で、まっすぐな団地。作りこまれた平和な街。だからこそぞっとするぐらい恐ろしい。
岡崎京子の「リバーズ・エッジ」に描かれる郊外の街は、おそろしく平和で退屈。だからこそ狂気が生まれるそのさまは、とてもリアルだ。作られた箱庭的環境の中で暮らすのはさぞや息がつまるだろう。作り笑いの平和な家庭。均一に続いていく日常。満ち足りてはいるはずなのに、いや、満ち足りすぎて定型すぎて、怖い。宮台真司を持ち出すまでもなく、郊外はゆるく狂っているように見える。あまりに均一な団地は、レゴブロックみたいで現実感がない。すべてが倒壊して瓦礫の山になった時にはじめて、リアルになるのではないかと思うぐらいに。大友克洋の「童夢」が描いたのはそういうリアルさだろうし。(ちなみに、「童夢」の舞台は埼玉の団地らしい)
とまあ、こんなことを考えながら歩く高島平は、やりきれないぐらい平和だった。自殺の名所として有名なぐらいだからなあ。