「フリッカー式」「エナメルを塗った魂の比重」佐藤友哉

というわけでユヤタン2作品、一気読みしたわけですが。案外彼の書くものってトーンが似てる。もっとぽーんと遠くまで放り投げられるかと思ったら、拍子抜け。同世代だなあ感を強める小技を、ぬけぬけと使ってしまうあたりは強いと思うけれど。だって、「エナメル〜」の方にはスーパーカーのメンバーのもじり名前とか使ってあるしな。しかもメンバー全員。でも気持はちょこっとわかる。あと、「ロックはフリッパーズの三枚目で終わったんだよ」なんてセリフが出てきたのには笑った。パーフリとは言わず、フリッパーズと呼ぶあたりが、私たちの温度っぽい。完成度は「水没ピアノ」がイチバンだったけれど、読んで損もしないとは思えるレベル。最近は「群像」あたりにも書いていて、ポスト舞城ぽい扱いを受けているけれど、まあこのまま気恥ずかしくも重たく、決してミステリ的開放感を求めてはいけない話を書いていってほしい。というか、もう本格ミステリって流行らないんだろうか?