「ららら科學の子」矢作俊彦

うまいなあ、というか、ちゃんと書いてるなあ、という感心が真っ先に出た。というのも、私は取材して書くというのがどうも苦手で、妄想を補填して頭の中で作ってしまうきらいがあるから。事実に基づいて書くのは大変だ。それをきっちりやって、エンターテイメントとして提出する、その技量に感服。しかしながら、どうして安易に女子高生、というコマを使いたがるんだろう、おじさんは。村上龍にもさんざんムカついてきたけれど。おじさんたちにとっては、未知なる希望のアイコンとして有効かもしれないけれど、女子高生を通り抜けてきたブンガク少女からしてみたら、それは妄想と、オジサンの希望を塗りたくった偶像にしか見えない。龍よりはずっと上手く物語りの仕掛けとして使ってはいるけれど、本当にこんな女子高生いるか?うーん。と、ヘンなところでひっかかってしまった。ああ、でもさすがに三島賞とっただけあって、力のある「物語」だと思う。なんだかけなしてしまったけれど。