「死ぬまでにしたい10のこと」サラ・ポーリー監督

死ぬまでにしたい10のこと [DVD]

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監督の才能に魅了されて、ペドロ・アルモドバルが制作を買って出た、というエピソードがあったので、期待して鑑賞。泣ける映画度としては★★★☆☆(ちなみに、ヴェンダースの「パリ、テキサス」が★★★★★レベル)。数回うるっとくる佳作といった印象。
全体の構成に目が行き届いていて、するりと見られる作りがうまい。ただ、やたらに予定調和な後半部分は度がすぎてる感もなきにしもあらず。ただ、俳優たちのちょっとしたしぐさがとてもチャーミングで、物語世界に感情移入がしやすくなってる。このへんのバランス感覚はなかなか。
最近、死についてよく考えるようになったけれど、あんまりこの映画は答を出そうとはしてくれなかった。いかに美しく死ぬかについての1考察にはなっているが。なんだか、切羽詰った感が足りないというか、あがいてる感じが足りなかったんだろう。たぶん、今私が死を宣告されたら、あんなに冷静ではいられないし、あんなにあっさりと死をうけとめられないだろう。なぜか確信に近い感覚でそう思っている。その確信がどこから来るものなのか、そこんところに死についての一つの答が潜んでいるような気もする。