「レフトアローン」

会社帰りにユーロスペースまで足を運び、やっと見てきた。スガ秀美がインタビュアーとして、「新左翼とは一体何なのか?」という問いをつきつけるドキュメンタリー。私が見に行ったのは、早稲田大学の地下部室闘争の模様が流れるから、という一点に尽きるわけで。どちらかというとサヨな友達は多いけれど、私は政治問題にさしたる関心もないわけで。新左翼と言われてもぴんとこないようなまあ普通の人なわけで。
そんな私から見ると、この映画は非常に不親切であった。新左翼とは一体何なのか、一応時系列を追いつつ、時代の証人たる人々にインタビューを試みているけれど、予備知識が足りない私みたいな観客からすると、ついていけるスピードではない。さらに、「わかってる同志が話す時のすっとばした会話」が主軸となってる構成上、「よく知らない人に関する噂話」的居心地の悪さを感じてしまった。たぶん、思想を理解している人からすれば、楽しいネタが満載なんだろうなあ、というそこはかとない予感はしたものの、早大のシーンと東大駒場寮のなつかしい映像しか見所はなかった。期待していただけに、ちょっと残念。唯一、西部氏のインタビューに関しては、予備知識ナシでも過去の体験談としての体裁を整えていて楽しく見られた。たぶんそれは、新左翼というカテゴリーを外から捉えている、西部氏のスタンスから出るものなんだろう。よく考えてみれば渦中にいる人が、渦中にいる人に対して話す内容が、客観的であるはずないもんな。でも、まったく理解していない人が聞ける話でもないし。そんなジレンマを感じた映画だった。
でも7.31の映像は、涙が出そうなぐらいなつかしかった。あの場所にいた人たちにしか共有できない感情なんだろうけれど、あの映像をまた見られただけで、見に行ってよかった、と思った。センチメンタルな感じである。うむ。しかし、映画なんてセンチメンタルに見なくてどうする!という気もするので、これでいいのである。たぶん。