『死の棘』島尾敏雄
- 作者: 島尾敏雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1981/01/27
- メディア: 文庫
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小説家と、その妻、ふたりの子供たち。東京の東のはしっこで平凡に生きていたはずなのに、ある日ぷつりと糸が切れてしまった妻。浮気をしつづけていた夫との、終わらない問答。繰り返される息苦しい戦い。ひとりの人とずっと一緒に生きていく、と決めることって、こんなにも重いのか、と飽きれるぐらい。そして、その素直さがすこし羨ましいぐらい。ぎりぎりの状態で続くせめぎあいは、読んでいて苦しいけれど、目を離せない気迫に満ちている。怖いもの見たさにも似たような気持ちで、読み進めているところ。ああ、すごい。久しぶりに小説にぞわぞわしている。