「機動警察パトレイバー 劇場版」押井守監督

機動警察パトレイバー 劇場版 [DVD]
1989年に制作されたジャパニメーションのハシリ、にして純然たる名作。友人Kと会った時に「この映画に出てくるピザレストランに行きたい」という非常にピンポイントな話題が出たので、そこまで熱狂する何かがあるんだろう、これは。と思い鑑賞。
1999年(制作時期の近未来&世紀末)の東京が舞台。レイバーというでっかいお役立ちロボが暴走、それを食い止めるために奔走する群像活劇、というのがおおまかなあらすじ。
でも、この映画の主役は、現実のパラレルワールドとして描かれる「東京」だ。押井さんの映画にはしばしば登場する、現実とは微妙に違う(でも、一歩ふみはずせば実現していたかもしれない、そんなぎりぎりリアリズムをもった)東京像。高層ビルと、古い街並み、そして進む再開発という3つの観点から描かれる街は、今とそんなに変わりない。レイバーというロボットが実現しなかっただけだ。轟々と物音を響かせて、瞬く間に古い街並みが更地になり、にょきにょきと近代的なビルに生まれ変わる。2,3年訪れなかっただけで、街が一変しているなんて東京ではよくある話。強烈な違和感と、ちょっとしたノスタルジー。その狭間で、人間はいかに豊かに生きられるのだろう?ってのが押井さんからのメッセージのように感じた。パトレイバーの面々が、釣りやら農業やらを余暇時間に愉しんでる(これって、はやりのスローライフ先取り!)ってのは、先見の明アリだよな、とうなってしまった。