「バベル」アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督

今の今まで、イニャリトゥじゃなくてイリニャトゥ監督だと思ってた!どうでもいいけど!
メキシコの結婚式のシーンがすごく素敵で、鮮やかな色がくるくるまわる。いいなあ、メキシコ。生命力がまだまだたっぷり蓄えられている場所、という感じがした。いいなあ、メキシコ行きたい。それに比べて、日本の街並みってどこかよそよそしいというか、頼りなげだ。聾唖者の女の子が東京のクラブへ連れられていくシーンの中で、轟音で鳴っていた音楽がぱっと止んだ瞬間。かろうじて保たれていた秩序が、わっと崩壊した感じがした。人はたくさんいるのに、どこにも頼るものがない感覚。何て頼りない世界。なんてさみしい東京。みんなうすうす感じているその居心地のよさとも悪さともつかないものを、遠い国メキシコの監督にさらりと提示されて、戸惑ってしまった。