古川日出男ナイトVOL.7@青山ブックセンター六本木店

anarchycafe2008-10-11

さて、今週の古川日出男青山ブックセンターでの朗読会に行ってきた。古川さんの朗読を生で聴くのははじめてで、youtubeで予習はしていたものの、あ、こうなるのか!と新鮮にゆさぶられた。同じ空間で言葉が発されている、という感覚はどうしてこうも強く迫るんだろう。演劇をDVDで見てもあの感じは味わえないのと同じように、朗読もその場で体験するしかないものなんだ。


『聖家族』の記録シリーズ・天狗と、『MUSIC』の冒頭部分。


古川さんの言葉は走ってる、といつも読みながら思うけれど、音で聞くと本当に走る。気持ちいい。言葉は意味と音で成るのだな、と再確認。


そして、朗読はあっという間に終わってしまって質問タイム。「質問者には仙台からやってきたずんだプリッツあげます!」という言葉につられて、質問。『聖家族』の兄弟たちの名前について。『聖家族』には不思議な名前ばかり出てきて、主人公たち兄弟の名前は、狗塚牛一郎、羊一郎、カナリア。一読して、どうしてこんな名前が思いついたのだろう、と思うような名前で、でもそれが人物たちの行動や性格や物語世界とかちっとはまっている。名前が先なのか性格づけが先なのか、どう生まれてきたものなんだろう。という質問。


ぱっ、ぱっ、ぱっと、つかむように名づけた。という答え。子供に名づけるとき、その子がどんな性格かはわからないよね、とも。あんまり緊張していて、きちんと意味を把握していたかわからないけど、あ、そういうことかーと思った。


広告を作っていると、たまにあるあの感覚。この広告って、こうかなーとぼんやりと形が見えはじめた時に、ひとつ言葉を置いたら全部がばばばーっと駒を置くように揃ってゆくことがある。そういう風にしてできた広告は、いっぽん筋が通っていてすがすがしくて、でも押し付けがましくない。この小説の名前も、そんな風にして引き釣りだされたものなのか、と私としては納得。


そして、青山ブックセンターの方の「古川さんのそのヒゲと髪型は…ビートルズ意識してますよね?」って質問には笑った。意識はしてなかったらしいのだけれど、言われてみれば。