「彗星まち」今岡信二監督

劇場公開タイトルは「獣たちの性宴 イクときいっしょ」。ピンク映画のタイトルって、湿った感じがして良い。これは、95年の作品で、岡崎京子の『リバーズ・エッジ』は93年。ふらーっと生きてるダメ人間たちが、川べりで死体を見つけ、どうしようもなく惹かれる話は、もうそのまんま『リバーズ・エッジ』。岡崎チルドレン、という言葉があるのかないのか知らないけれど、そういう表現者は多い。でもここまでストレートに不器用に、『リバーズ・エッジ』に捧げられた作品は、たぶん他にない。あまりに不器用で笑ってしまいそうになるけれど、でもやっぱり無視できなかったんだと思う。その気持ちはすこしわかる。偉大すぎる壁を超えることを考えたら、力技しか見つからなかったんだろう。その荒々しさまで含めて、とても青い、青春映画に仕立てられている。あてどなく酒飲みながら歩いてみたり、川や海の水辺がどうしても好きだったり、うわーわかるわかる!ごめん、こういうことしてました、いやまだしてます!という場面が多い。この等身大感が良いなあと思ったら、「登場人物のダメさ加減にリアリティがなかった」とか書いてるヒトを発見して、驚いた。みんな、そんなまっとうに生きてるのか。ダメであることを威張るのは一番格好わるいけど、ダメであるゆとりを持てない人もつまらない。いつも心にダメマインドを。これ、私の20代の宣言にしよう。