『きょうのできごと』柴崎友香

行定監督の映画もまだ未見。時間があったので、ぶらぶらスメハチを連れて散歩してる途中に立ち寄ったヴィレッジヴァンガードで購入。キーワード探しに行ったはずが、本屋にいったからには…と何か獲物をさらいたくなってしまった。電車の中でぽちぽち読むのにも最適な、ゆるーいお話。特に何も起こらない。特に哲学的でもない。特に文学的なわけでもない。でも、ささいなエピソードをささいなままで書き起こすってのは、カンタンなようで難しいとわかっているから、ふんふん頷きながら読む。関西弁のゆるーい感覚(私の頭の中では、勝手に京都ノリのゆるーい語りに変換されてる)が、またこれによく合う。ビールと焼き鳥みたいに。ああ、いい。癒される。
私が柴崎さんの小説で一番すばらしいと思うのは、男の子がかっこいいというところだ。好みが近いのかもしれない。間違ってもマッチョの男に主人公は惹かれないから、安心する。文系大学院生なんかがちゃんとかっこよく見える。またいいなあ、と思う。
読み終わったあとも、ああ、よかった、と満足できそうないい予感のする一冊。なんのへんてつもない日常をいつくしむようになったら、もう若くもないよな、なんて毒を吐きながらも、スキな一冊になりそうだ。