「ドリーマーズ」ベルナルド・ベルトルッチ

私は、なぜ60年代が好きなのだろう?と改めて不思議になった一本。それは、崩壊ぎりぎりの危うさがあるからかもしれない。もうダメだ、とどこかで気づいていながら、最後の疾走を見せる世界。たぶん、今の世の中にはない空気。それにぐっと来るのだろう。
濃密な美しさとエロに彩られた60年代のパリ。崩壊する寸前の世情と、兄妹とひとりの若者の三角関係がやわらかく崩れていくさまが重なり合って描かれる。なんて書くととても陳腐だけれれど、見ているうちに泣きたくなった。ぎりぎりを信じるのはツライことだ。自分も、まわりもだましながら生きているというのは。でも、それでも信じられるものがあるというのは幸せなことかもしれない。