『ソラニン1』浅野いにお

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)
ふあー!と思う。電車の中で読んでいたので、あるいは、ふあー!とつぶやいてしまっていたかもしれない。同時に、これは時代の気分なのか、と妙に納得したりもした。
社会人2年目の女の子。同棲中のフリーターの男の子。何でもない日々は、女の子が会社をぱたんと辞めてしまったところから劇的に変化!するわけでもなく、やっぱり淡々と続いていく。もがいたり、苦しんだりしながら。
最近、まわりから「仕事」について悩んでる話をすごくよく聞くようになった。辞めようかと悩む人もいれば(私もあやうく辞めそうになったっけ)、何を仕事にしようか悩んでいる人もいて。「こんなはずじゃなかったのに」という思いと、「でも本当は何をしたいんだっけ?」という気持ちのせめぎあい。誰も手をひいてくれないから、私たちは悩んだり、泣いたり、笑ったり。なんとかかんとか日々を乗り切っていく。自分だけが悶々としてるわけじゃなかったのか、という救いももたらすけれど、きっとこの先のストーリーは一筋縄じゃいかないような気もぷんぷんする。「80年代生まれ」の表現者として、浅野氏がこれからどんな「リアル」をつむいでくれるのか、すごくすごく気になるところ。
ところで、主人公の男の子がメガネ男なところは、なんだかちょっとできすぎていて笑ってしまう。やっぱり時代はメガネだよなぁ。