圧力鍋すごい。尾辻克彦もすごい。

昨日の夜中に、圧力鍋で玄米を炊くとうまいというレシピ本を読んでしまって、ちょうど家に玄米がたんまり置いてあったものだから、たまらずに深夜に玄米を洗って炊いてみた。晩ごはんはとうに食べ終わっているというのに、3カップの玄米をざざっと水洗いして、ざるに開けて、圧力鍋にざらららと流し込む。玄米の黄色い山ができたところに、3カップの水を入れて、ふたをぎゅむむと閉めて(圧力鍋のふたは、まわりにゴムが仕込まれていて、ぎゅむむ、という感じでしまる。そのやんわりした感触が、好きだ)、強火でおもりが上がるまで。しゅんしゅん言い出したら火を弱めて30分放置。


その間に、図書館で借りてきた『肌ざわり』尾辻克彦を読む。『モンキービジネス』の「好きな少年少女」で長嶋有がこの本に出てくる胡桃子を推していて、それで手にとったのだけれど、もう!こんなに好みの文章を久しぶりに読んだ気がして、うわあうわあとなりながら読む。感触としては、田中小実昌の文章に近い。のだけれど、書かれている事象のみずみずしい発見具合は、保坂和志の世界の見方に近い感じがする。
自転車に乗っているうちに、目に虫が飛び込んできた。それだけのことで1篇のすごくスリリングな短編小説が出来上がっている、そんな小さな世界のたんねんな話ぶりがツボだった。


とかいってる間に、30分たったことを知らせるベルが鳴って、あとは蒸らしに15分。ふたをまたぎゅむむと開けて、中を覗き込むと、黄色い米粒がたっていて、ふんわりと深夜の部屋に香ばしいにおいが漂ったのだった。つやつや玄米は、味見された後、今日のわたしのお弁当となったのでした。うまかった!

肌ざわり (河出文庫)

肌ざわり (河出文庫)