「愛の渦」ポツドール@シアタートップス

今月の観劇は、ポツドール。14日夜の回に行ってきたら、超満員。チケット買っておいてよかった…。すごいらしい、という噂を見聞きしてハードルを上げて臨んだにもかかわらず、すごかった。すごいものを見た。あの場に居られてよかった。


すけべな人しか入ってはいけない乱交パーティの店に集まった男女がくんずほぐれつする、と、まとめるとみもふたもないストーリー。途中、男優のあそこがぽろりと見えたり、セックスシーンもあるのだけれど、いやらしくはない。というか、そういうモードになるのを許さないぐらい、居心地がわるい演出。エロがテーマなのか、と思って見はじめたけれど、実はたぶんそうじゃない。「建前をとっぱらっていいですよ」というお墨付きを与えられているのに、どうしようもなくこびりついた恥とか外聞とか、そういう自意識の揺れ動くあさましいさまをぐいぐいと突きつけられてゆく。すけべなことをしていいですよ、と言われても、やっぱりはじめはみんな顔色をうかがうばかり。すげー気まずい空気。おずおずと交わされるものすごく意味のない会話。でもやっぱりすけべなことしたいし、という欲望がぽろぽろとこぼれだしていく。


観客も、まるでその部屋に閉じ込められたように、居心地のわるい空気を共有する。というか、私だってあの部屋にいたら愛想笑いをしながら、意味のない会話をするだろう。すけべなことしたいという欲望をぽろぽろ落としながら。あー人間ってあさましいね。でも、そうやって生きてゆくのだ。そうやって生きていける人だけが、モテるのだ。あの娘より私の方が、ちょっとは頭良くてかわいくてモテるでしょ、って笑顔の下で値踏みしながら生きるのだ。


建前をかっぱらったところの強いところをぐいぐいつきつけるようなポツドールの劇は、すごく重たくて息がつまって、でも一瞬も見逃すものかと目を見開いて見てしまうぐらいものすごくおもしろかった。次の公演もぜったい見る!作・演出の三浦さんが監督する『ボーイズ・オン・ザ・ラン』もすごく楽しみだ!絶対激重なしあがりだろうけどな!